ライフイズストレンジをやり終わった。PS4のゲームで、弟に勧められたものだ。結論から言うと、凄く良かった。

ライフ イズ ストレンジ - PS4
スクウェア・エニックス
2016-03-03



これは、過去に戻る能力を得た女子高生が主人公のアドベンチャーゲームだ。頭を使うガチガチのサスペンスというよりは、タイムリープ設定の、青春モノのアドベンチャーゲームだと思う。陰鬱な青春ドラマの中、時間を戻す力がある自分が、周りに関わっていく感じ。

何がいいって雰囲気がいい。音楽がいいし空気感がいい。テレビにかじりついて集中してやってしまった。隣で見ていた奥さんは「おっしゃれー」と繰り返し言っていた。「おっしゃれー」「ひゅーっ」「おっしゃれーっ」。確かに、物語の序盤は「おっしゃれー」感丸出しで話が続く。たとえば、学校の廊下で主人公が壁にもたれかかる。イヤホンをつける。同時に「おっしゃれー」な音楽が流れ、タイトルが表示される。こんなオープニングとか。「ひゅーっ!おっしゃれー!」これには奥さんも興奮を抑えられない。ちなみに、ストーリーは暗め。「おっしゃれー」な青春感と、若い頃特有の暗い雰囲気を行ったり来たりしながら、話が進んで行く。

僕は、初めてこのゲームの中で、主人公マックスになって、時間を巻き戻した時のことが忘れられない。愛用のカメラを落とし、壊してしまうマックス。でも、手を前に突き出して念じれば、時間は巻き戻せる。バラバラだったのに、元通りになるカメラ。僕は「おおーっ」と声を出してしまった。それくらい印象的だった。そしてその時、それまで横で見入っていた奥さんが、「そういえば、お風呂入れっぱなしじゃない?」と叫ぶ。「おっしゃれー」といっていた、あの時の余裕はそこにはない。心拍数が跳ね上がり、強張るお湯入れ担当の僕。床に落ちるコントローラー。満杯にもかかわらず、湯船に注ぎ込まれる水。蛇口に飛びつき、固く締める僕。いくら固く締めても、水は戻らない。腕を前に出し、念じても、時間は巻き戻らない。この世界は厳しい。ライフイズストレンジ。

さて、ともかく、タイムリープものって面白い。シュタインズゲートも面白かった。映画だとバタフライエフェクトとか。メメントが一番好きなのだけど、あれはタイムリープではないか。とにかく、タイムリープものの作品はたくさんある。使い古された設定なんだけど、まあ面白い。考えこんでしまう面白さがある。

僕も、過去に戻れたら・・・と思ったことは何度もある。でも、タイムリープものの映画・ゲームを見ると、「いや、これ、時間が巻き戻せないほうが幸せなんじゃないか」と思う。もし、過去に戻る能力があったら、まず何でも諦めがつかない。あちら直したら、副作用が別のところにでて、それを直そうとするとまたこちらに影響が出て。の繰り返しになる。いつまでたっても先に進めないはずだ。プログラムのバグを直そうとしてコードをいじり、逆にバグを埋め込んでしまうプログラマのようだ。あれは本当に辛い。そうだ単体テストを書こう。さて、ちょっと話はそれたけど、ともかく、時間を巻き戻せてしまうと、力に頼って溺れてしまいそうな気がする。

ということで、もし僕に過去に戻る能力があっても、多分過去には戻らない。あ、いや、一度だけ、戻るかもしれない。一度だけ、過去にもどって自分にアドバイスをするとしたら、あの時の朝、僕は僕に、「今日の朝、お前は登校中に、猛烈な便意に襲われる。無理せず、遅刻してもいいから、駅でトイレに行くんだ。さもないと・・・」と言い残す。そうだ、これだけはやる。これぐらいのアドバイスは、あの時の自分にするかもしれない。その結果、悲劇をすっきりと回避した僕と引き換えに、バタフライエフェクトで世界が終わるとしても。